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自然体験、自然学習の場や日本の伝統的文化(伝統行事や祭りなどを含む)や伝統的技術の継承など、まさに民族文化の見直しを機軸とした「新しいライフスタイルの確立」運動としても、その可能性を示唆するものとなっています。
このように市民参加による「里山・田園景観(環境)の保全」運動は、国民的ボランティア活動による様々な運動を展開している英国など欧米諸国でも注目しています。中でも我が国の伝統的農業技術による環境保全の手法は、「持続可能な社会」のモデルとして国際的にもその成果が注目されています。
里山は本来、水田農耕を営む祖先の生業と結びつき、我が国特有の気候風土のもとで成立したものです。そのため、保全と維持・管理には多くの人手が必要であり、昨今、これらの活動に余暇活動」や「生きがい活動」などとして参加を希望する声が急速に大きくなっています。そこで私たちは、日本の四季を彩る美しい「里山・田園景観の保全」と、メダカやトンボに代表される「身近な生き物の保全」、竹細工や藁細工、炭焼きなどの我が国の「伝統的(里山)文化の保全」に関する様々な課題に挑戦するとともに、その指導者の養成と市民ボランティアの育成に取り組むことにしたのです。
本事業は、(社)大阪自然環境保全協会の設立目的である「人と自然」「都市と自然」の共存・共生に関する、活動の実践的展開の一環であり、公益的自然保護活動の根幹をなすものです。この事業の成功は、国内における自然環境保全事業に資するだけでなく、我が国の伝統的手法による新しい環境保全技術を確立し、その国際的な普及・啓発に取り組むことにより、21世紀を展望した新たな環境ネットワークづくりをも可能とするものであると考えています。
本年度(平成8年度)は「日本財団」平成8年度補助事業として、里山の管理に関する理論と技術を身につける「里山の管理指導者の養成」講座(年3回・各50名)と里山の再生と活用に関するプロジェクト(7プロジェクトの中から?A里山・公園管理プロジェクト及び?C稲作生態系保全プロジェクト)の育成などの
他、これらのまとめと報告・啓発・普及・交流のため、本シンポジウムを開催いたしました。
また本年度はこの事業の他に、環境事業団による「地球環境基金・平成8年度国内研修」も実施し、日本各地からの参加者に大きな感銘を与えました。

 

 

 

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